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2009年02月 アーカイブ

2009年02月08日

ISM製造業景気指数 (アイエスエムせいぞうぎょうけいきしすう)

ISM(Institute for Supply Management)製造業景気指数とは、全米供給管理協会が発表する企業の景況感を示す指数のこと。旧NAPM指数。

この指数には製造業景気指数と非製造業景気指数があるが、ISM製造業景気指数は、月々の景気動向を示す指標の中で、翌月第一営業日に発表されることから、米国の景気先行指標として注目されている。

ISMは、48,000人の企業の購買・供給管理の専門家と情報交換しており、ISM製造業指数の作成にあたっては400人以上の購買・供給管理の責任者にアンケートを送って集計している。ちなみに、アンケートは新規受注・生産・仕入価格などの調査項目に対して、「良くなっている」、「同じ」、「悪くなっている」の3つの選択肢から回答を選ぶ形式となっている。

ISM製造業景気指数は、日本の日銀短観と類似する統計であるが、日銀短観がゼロを分岐点として、+(プラス)、-(マイナス)で表すのに対して、ISM製造業景気指数は、パーセンテージで表し、50%を景気の拡大・後退の分岐点としている。50%を上回れば、景気が拡大していると判断することができる。

景気動向指数 (けいきどうこうしすう)

景気を測る指標はたくさんあるが、一つ一つの景気指標には一長一短がある。たとえば「鉱工業生産指数」は、生産面だけを対象にしており、かつ金融やサービスといった分野の動向を表していないため、景気全体の動向を知るという点では物足りない。そこで、景気全体の動向を知るためにはこれらの景気指標を統合し、一つの指標にしたものがある。これを景気動向指数という。

産業、金融、労働など経済のあらゆる側面を網羅した29項目の景気指標を基に指数を算出している。景気動向指数は景気を先取りして動く「先行指数」、景気と並行して動く「一致指数」、景気に遅れて動く「遅行指数」に大別される。現在、内閣府(省庁再編以前は経済企画庁)が公表をしている。

【景気動向指数の種類(平成20年6月現在)】

たとえば、鉱工業生産指数は景気と連動して動く傾向があるので、一致指数に含まれている。また、企業は景気が良くなる見通しがたつと採用を増やすので、新規求人数は先行指数に含まれている。そして、企業がもうかり、利益が出ると、あとで国に税金を納めるので、法人税収入は遅行指数に含まれている。

先行指数(12項目)
新規求人数、新設住宅着工床面積、実質機械受注、東証株価指数など

一致指数(11項目)
鉱工業生産指数、大口電力使用量、商業販売額、有効求人倍率など

遅行指数( 6項目)
法人税収入、家計消費支出、完全失業率、第3次産業活動指数など

【CI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)】

なお、平成20年4月分(速報)よりDI(ディフュージョン・インデックス)中心の公表形態からCI(コンポジット・インデックス)中心の公表形態へ移行している。

CIは景気の強弱を定量的に計測することを目的とした指数である。このため、CIは、景気の山の高さや谷の深さ、拡張や後退の勢いといった景気の「量感」を示す指数とされる。CIの変化率は採用系列の変化率を合成したものであり、各採用系列間での変化のばらつきを示すものではないため、景気変動の経済各部門での相違を把握するには、CIの変化率に対する各採用系列の寄与度や、DIをあわせて利用するのが望ましいとされる。

DIは景気の局面の判定に用いる指数である。DIは採用系列のうち、改善している指標の割合が50%を上回れば景気が拡張局面、下回れば景気は後退局面にあると判定する。DIは、景気の各経済部門への波及の度合いを表すものである。DIの採用系列はCIと同じである。DIは変化率を合成したものではないため、DIの水準自体の変化は景気変動の大きさや幅とは直接的には無関係である。

2009年02月22日

キャッシュフロー

文字通り「資金の流れ」を意味する。資金の流出をキャッシュ・アウトフロー、資金の流入をキャッシュ・インフローといい、両方あわせてキャッシュフローという。

会計の場合には、企業活動におけるキャッシュの出入りを示し(ネットインカム+純利益)、証券分析の場合には、投資対象によって得られるすべてのキャッシュを総称する。

企業の活動状況について、活動状況を会計処理して表すものを財務諸表と呼ぶが、金融商品取引法の財務諸表規則に則って作成される財務諸表において定義されるキャッシュフローとは、現金や現金同等物の増加または減少をさす。

なお、一会計期間のキャッシュフローの状況を、一定の活動区分別に表示したものを「キャッシュフロー計算書」と呼ぶ。

【キャッシュ】

現金

当座預金・普通預金、その他、預金者が一定の期間を経ることなく引出すことができる預金

現金同等物

容易に換金することが可能であり、かつ価値の変動のリスクが低い短期的な資金

キャッシュフロー計算書 (きゃっしゅふろーけいさんしょ)

貸借対照表損益計算書と並び、金融商品取引法の適用企業における基本財務諸表の一つとして位置づけられている。企業または企業集団の一会計期間におけるキャッシュ(現金・現金同等物)の収支(=キャッシュフロー)を報告するもの。一般的に、現金同等物とは取得日から3カ月以内に満期日または償還日が到来する短期的な投資等とされている。

キャッシュフロー計算書は、連結キャッシュフロー計算書・中間連結キャッシュフロー計算書、個別ベースのキャッシュフロー計算書・中間キャッシュフロー計算書の総称である。

【キャッシュフロー計算書の区分】

営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)

企業が主たる営業活動から獲得した金額を示す

投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)

将来の利益獲得及び資金運用のために、どの程度の金額を支出し、回収したのかを示す

財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)

上記2つの活動を維持するために必要とする資金を、どのように・どの程度の金額を調達し、返済をしたのかを示す

損益計算書 (そんえきけいさんしょ)

一定期間における企業活動で、「収入」と「支出」を対応表示することによって、当該期間にかかる企業の経営成績を明らかにする報告書。「貸借対照表」と「キャッシュフロー計算書」等をあわせたものを、財務諸表と呼ぶ。

【損益計算上の利益】

1会計期間にあげた利益(または損失)には、次の6つの項目がある。

経常利益 (けいじょうりえき)

損益計算書上において、営業利益(営業損失)から営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた利益のこと。計算後、利益ではなく損失となった場合は、経常損失という。

株式会社の通常の事業活動において、直接的にそして間接的に関わる損益を計算したもの。通常の事業活動に関係しない損益を除外した損益のこと。

経常利益の成長率をあらわす指標として、増益率がある。

【算出式】

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

特別利益 (とくべつりえき)

会社経営において、特別に発生した金額的にも大きな利益。
損益計算書に記載される。固定資産の売却による利益などがこれにあたる。

税引前当期利益 (ぜいびきまえとうきりえき)

損益計算書上において、経常利益(経常損失)から特別利益を加え、特別損失を差し引いた利益のこと。計算後、利益ではなく損失となった場合は、税引前当期損失という。

当期純利益 (とうきじゅんりえき)

当期純利益とは、会社法の計算規則による損益計算書上において、税引前当期純利益から「法人税、住民税および事業税」と税効果会計により生じる「法人税等調整額」を差し引いた利益のこと。計算後、利益ではなく損失となった場合は、当期純損失という。

旧商法の計算書類規則では「当期利益」と呼んでいたが、会社法の計算規則では、旧証券取引法(現在の金融商品取引法)の財務諸表等規則同様、「当期純利益」と呼ぶ。

法人税 (ほうじんぜい)

企業の事業活動に対してかけられる税金の一つ。
法人税は国税である。法人税は、法人所得に対して一定税率が課税される。税率には、表面税率と実効税率とがある。

ちなみに都道府県の税(地方税)としては、法人事業税と法人住民税がある。

法人事業税 (ほうじんじぎょうぜい)

企業の事業活動に対してかけられる税金の一つ。
国税である法人税に対して、法人事業税は都道府県の税(地方税)として位置づけられる。都道府県の税(地方税)は、法人事業税の他に、法人住民税がある。

現在、法人事業税は企業の所得に対して課税されている。

平成16年度からは、資本金1億円超の法人を対象に外形標準課税が導入されることになった。同時に、所得に対して課税される部分は減税となり、税額は現行の9.6%から7.2%となる。これは現行の75%が課税相当分で、外形標準課税は減税相当分の25%に対して導入されることになった。

法人住民税 (ほうじんじゅうみんぜい)

企業の事業活動に対してかけられる税金の一つ。
国税である法人税に対して、法人住民税は道府県民税と市町村民税を合わせた地方税として位置づけられる。東京都23区については、道府県民税と市町村民税ではなく、両方を合わせた都民税として課税される。

法人住民税には、「均等割」と「法人税割」がある。

【均等割】

法人の所得金額の多少にかかわらず、資本等の金額に応じて一定の税額を納税するもの。

【法人税割】

会社の所得に応じて課税される税金で、法人税額を基礎として、道府県民税および市町村民税(東京都23区の場合は両方を合算して都民税)が計算される。

個人向け国債 (こじんむけこくさい)

個人向け国債は、日本国政府が、原則として個人の投資家に限定して発行する利付国債のこと。「5年・固定金利型」と「10年・変動金利型」の2種類がある。証券会社をはじめとする取扱機関において、額面1万円単位で購入することができる。平成19年7月からは、特定贈与信託の受託者である信託銀行および信託業務を営む金融機関も個人向け国債を保有できるようになった。

【5年・固定金利型】

固定金利型は、償還期限が5年で、発行時の利率が満期まで適用される。その利率は、募集期間開始日の2営業日前(10年固定利付国債の入札日)において、市場実勢利回り(注1)をもとに計算した期間5年固定利付国債の想定利回りの基準金利から0.05%を差し引いたものである。なお、利率の下限は0.05%となっているので、0.05%を下回ることはない。

また、発行から2年経過すれば、一部でも全部でも中途換金が可能である。ただし、中途換金に際しては、4回分の利子(税引前)相当額に0.8を乗じた金額が差し引かれる。

【10年・変動金利型】

変動金利型は、償還期限10年で、利率が6カ月ごとに実勢金利に応じて見直される。初回利率は、募集開始時の直前におこなわれる10年固定利付国債の入札における平均落札利回りから0.8%を差し引いたものとなる。なお、利率の下限は「5年・固定金利型」と同様、0.05%となっている。また、発行から1年経過すれば一部でも全部でも中途換金が可能である。ただし、中途換金に際しては、直前2回分の利子(税引前)相当額に0.8を乗じた金額を支払う必要がある。

【中途換金の算出方法】


  • 10年・変動金利型

    額面金額 + 経過利子相当額 - 直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.8
  • 5年・固定金利型

    額面金額 + 経過利子相当額 - 4回分の各利子(税引前)相当額 × 0.8

2009年02月28日

金融商品取引法 (きんゆうしょうひんとりひきほう)

金融商品取引法とは、さまざまな金融商品について開示制度、取扱業者に係る規制を定めることなどにより、国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目指した法律である。立案段階では「投資サービス法」と呼ばれていた。

従来、株券や債券など「有価証券」については、証券取引法、金融先物取引については金融先物取引法など、金融商品ごとに法律が定められていたが、従来の枠組みに当てはまらないさまざまな金融商品や、それらを取扱う業者が登場していることなどから、幅広い金融商品を包括的に対象とする新しい法律の枠組みが求められていた。

金融商品取引法は、証券取引法を母体としながら、以下の改正をおこなって成立している。

【証券取引法を母体とした改正内容】

金融商品取引法は、証券取引法を母体としながら、改正をおこない、成立した。

対象

集団投資スキーム(ファンド)も含め、投資性の強い金融商品・サービスについて横断的に対象とする。

開示制度

開示制度について、公開買付制度・大量保有報告制度の見直し、四半期開示制度の整備などをおこなう。

罰則強化

「有価証券報告書」など開示書類の虚偽記載および不公正取引などに対する罰則を強化する。

【金融商品取引法 改正後の概念図】

消費者物価指数 (しょうひしゃぶっかしすう)

総務省(省庁再編以前:総務庁)が毎月発表する統計で、「東京都区分」と「全国」の2種類がある。すべての商品を総合した「総合指数」のほか、物価変動の大きい生鮮食品を除いた「生鮮食品除く総合指数」も発表される。

商品の販売には卸売と小売の区別がある。消費者に対しての販売を小売という。スーパーや商店で買い物をするとき、小売商から小売りされているといえる。この段階での価格を指数化したものが「消費者物価指数」である。

「消費者物価指数」は、家計でよく消費するもの、長期間値段を調査できるものなどいくつかの条件をもとに、500品目以上の値段を集計して算出される。タクシー代やクリーニング代といったサービスの料金も含まれる。

なお、元本が全国消費者物価指数(CPI)に連動して増減し、金利は利払い時の想定元金額に応じて支払われる国債のことを物価連動国債という。

鉱工業生産指数 (こうこうぎょうせいさんしすう)

日本の産業は、農業や漁業などの農林漁業、金や銀、鉄、石炭などを産出する鉱業、家やビルを建てる建設業、モノ(食品、繊維、化学、機械、精密機器など)を作り出す製造業、モノを販売する卸売・小売業、そして、金融業、サービス業などに分けることができる。

その中で、鉱業と製造業(一部)が生産をしている量を指数としてまとめたものを鉱工業生産指数という。生産、出荷、在庫、在庫率が提供されており、在庫残高を指数化したものに在庫指数がある。
例えば、鉄鋼業の鉄が生産されたり、電気機械のパソコンが生産されると指数は上昇する。鉱工業生産指数は鉱業と製造業の大部分を反映しているため、生産動向を測る上で、最も有力な指標として重要視されている。

在庫指数 (ざいこしすう)

景況感をあらわす指標。設備投資の動向と並んで、景気循環を分析するために有効な指標。

鉱工業生産指数の在庫残高を指数化(ある時点を100として表わす)したものである。

【在庫指数の特徴】

(1) 鉱工業生産指数とパラレルの関係である
(2) 在庫ピーク=景気の谷、在庫ボトム=景気の山にそれぞれ先行するといった特徴があるとされている。

棚卸資産 (たなおろししさん)

会社が、販売する目的で一時的に保有している商品・製品・原材料・仕掛品の総称のことである。一般的には、「在庫」とも言う。棚卸資産は、貸借対照表の借方項目である「資産の部」の「流動資産」に含まれる。

棚卸資産は、商品・製品として販売されることによって、はじめて会社の収益となる。販売等が遅れることによって棚卸資産が増えることは、保管費用の増加や運転資金を寝かせることとなるため、会社のキャッシュフローにとってはマイナスとなる。逆に、棚卸資産が減少することは、会社のキャッシュフローを改善させる効果がある。

企業物価指数 (きぎょうぶっかしすう)

企業間で取引される商品の価格に焦点を当てた物価指数。
商品の需給動向を敏感に反映する取引価格の動向が調査されるので、景気判断に活用することが可能となる。

日本銀行が毎月発表する統計で、従来の「卸売物価指数」に代わる経済指標である。統計はおもに「国内企業物価指数」「輸出物価指数」「輸入物価指数」から構成される。

【国内企業物価指数】

国内市場向けの国内生産品の企業間における取引価格を調査対象とした物価指数。2000年を基準年としている。

【輸出物価指数、輸入物価指数】

輸出物価指数は輸出品が日本より積み出される段階の価格を、輸入物価指数は輸入品が日本に入着する段階の価格を調査した物価指数。2000年を基準年としている。

生産者物価指数 (せいさんしゃぶっかしすう)

PPI(Producer Price Index)とも呼ばれる。米国の労働省が、米国内の製造業者の販売価格を約1万品目について調査し、発表するものである。製造段階別(最終財・中間財・原材料)、品目別、産業別の数値が毎月発表される。

PPIはインフレ率(物価上昇率)の判断に用いられ、日本の「卸売物価指数」に近い統計である。日本の卸売物価は輸送費や流通マージンを含んだものになっているのに対して、PPIは生産者の出荷時点での価格を対象としたものになっている。

PPI (Producer Price Index)

生産者物価指数のこと。米国の労働省が、米国内の製造業者の販売価格を約1万品目について調査し、発表するものである。製造段階別(最終財・中間財・原材料)、品目別、産業別の数値が毎月発表される。

PPIはインフレ率(物価上昇率)の判断に用いられ、日本の「卸売物価指数」に近い統計である。日本の卸売物価は輸送費や流通マージンを含んだものになっているのに対して、PPIは生産者の出荷時点での価格を対象としたものになっている。

機械受注 (きかいじゅちゅう)

代表的なマクロ経済指標の一つ。

内閣府経済社会総合研究所が月次で発表している指標で、主要機械等製造業者を対象とし、それらの企業の受注額を集計した統計。

各企業が設備投資のための機械を機械メーカーに発注する段階をとらえるので、設備投資の動向をしることができる。機械受注は、実際の設備投資より6カ月から9カ月先行する指標だといわれている。株式市場においては、特に、設備投資関連の銘柄(例えば半導体製造装置や機械等)の株価動向を考える上では重要である。

なお一般には、船舶・電力を除く民需が使用される。これは、船舶及び電力会社からの受注は、規模が大きく、かつ不規則な動きを示すことから投資意欲の実勢をうかがうには、除くことが適当であろうと考えられているからである。

マクロ経済 (まくろけいざい)

経済を捉える際に、一国の経済全体をみるもの。経済の三態(政府・企業・家計)を総体としてみる。

GDP成長率などの経済成長率や、消費者物価指数などの物価指数など、経済指標等で、経済を数値的に捉える。

ミクロ経済 (みくろけいざい)

経済を捉える際に、経済の基本単位である、企業や家計など個別の主体をみるもの。

マネーストック (まねーすとっく)

マネーストックは、金融機関から経済全般へ供給されている通貨の総量を指す。一般の企業や、個人、地方公共団体など、金融機関、および中央政府以外の経済主体が保有する通貨量の残高を集計した統計である。集計する際に、通貨としてどのような金融商品を含めるかについては、国やその時々によって異なるが、日本の場合、対象とする通貨の範囲に応じて、M1、M2、M3、広義流動性という4つの指標を日本銀行が作成、公表している。

マネーストックには、お札や硬貨といった現金だけではなく、預金なども含まれる。実際の経済活動において、銀行に預けられているお金は、現金とほぼ同様の機能として活用されており、現金の何倍かの量の預金残高が存在している。実際に、電話、電気、ガスといった公共料金などは、預金から自動的に引き落とされ、預金はお金としての機能を果たしている。

なお、従来のマネーサプライ統計の見直しがおこなわれ、2008年から「マネーストック統計」として作成、公表されている。見直しに際しては、マネーサプライに含まれていた証券会社、短資会社および非居住者が、通貨保有主体から除外されたほか、各指標に含まれる金融商品の範囲についても変更された。

【マネーストックと景気】

金融機関が積極的に貸出しをおこなうとマネーストックが増加する。マネーストックの増加は、通貨量全体が増えることを意味し、一般的には景気が良くなる方向へ作用する(ただし、通貨供給量が増えすぎると、インフレ懸念が生ずる)。逆に、金融機関の貸出しが減るとマネーストックは減少する。マネーストックの減少は世の中の通貨量全体の減少につながり、一般的には景気を押し下げる方向へ作用する。

日本銀行は、「景気が落ち込んだ場合」に、無担保翌日物コールレートの誘導目標を引き下げ、マネーストックを増加させ、景気を刺激させる。逆に、「景気が過熱している場合」には、誘導目標を引き上げ、マネーストックの伸びを鈍化させて、インフレが進行することを防ぐ。

無担保コールオーバーナイト物 (むたんぽこーるおーばーないともの)

無担保コール翌日物とも呼ばれる。

金融機関同士がコール市場において、担保なしで、短期資金を借り、翌日には返済する取引のことを「無担保コールオーバーナイト物」という。このときの貸し借りの金利を「無担保コールオーバーナイト物金利」と呼んでいる。

なお、金融機関が仮に市中で資金調達ができない場合は、金融機関は日本銀行に担保を差し出し、日本銀行より、資金調達をおこなう。
このときの貸出金利が、基準貸付金利(かつての公定歩合)である。

日本銀行は、金融政策決定会合において、金融経済情勢の検討の下で金融市場調節方針を決定しており、その中で無担保コールオーバーナイト物金利の誘導水準を示している。無担保コールオーバーナイト物金利が金融調節の操作目標に採用されている理由としては、無担保コールオーバーナイト物取引が金融機関の当日の資金過不足の最終調整の場であり、資金供給・吸収オペレーションによる誘導が比較的容易であること、また、他の取引のレートの判断基準になりやすく、期間が長めの金利形成にも影響をあたえやすいことなどが挙げられる。

日本銀行は、デフレからの脱却を目指すべく、1999年からゼロ金利政策を実施し、無担保コールオーバーナイト物をおおむねゼロ%に誘導していた。その後、2000年8月に日本銀行は、日本経済のデフレ懸念が払拭できる状況になったとして、ゼロ金利政策の解除に踏み切った。しかし、日本経済が再び景気の悪化に見舞われたため、日本銀行は2001年3月に量的緩和政策を導入した。量的緩和政策は日銀当座預金残高を金融政策の誘導目標とするものであったが、この措置により無担保コールオーバーナイト物金利は事実上ゼロ%となった。しかし、国内消費や企業の景況感が改善してきたことから、2006年3月に量的緩和政策の解除がおこなわれ、同年7月にはゼロ金利政策の解除もおこなわれている。

かつては、公定歩合の操作が短期金融市場に与える影響が大きく、金融政策の中心であったが、現在は、無担保コールオーバーナイト物金利が金融政策の誘導目標とされている。

ゼロ金利政策 (ぜろきんりせいさく)

ゼロ金利とは、コール市場の金利が政策的にゼロ(またはそれに近い低金利)にされていることをさす。

1999年3月に日銀は、「短期金融市場の無担保コール翌日物金利」を史上最低の0.15%に下げた。この時の日銀の速水総裁は「翌日物金利はゼロでもよい」と発言したため、「ゼロ金利政策」と呼ばれた。金融システムの不安や、長期金利の上昇によるデフレスパイラル(景気後退と物価下落の悪循環)を防ぐことが狙いで実施された。

コール市場 (こーるしじょう)

コール市場は、短期金融市場の代表である。「コール」というのは英語で「call」であり、呼べばすぐ返ってくるほど短期間の貸し出しをするため、こう呼ばれている。コール市場の参加者は、金融機関に限定されている。

金融機関では、毎日、多額の資金が余ったり不足したりするので、一日一日の運用は極めて重要である。コール市場では、そういった非常に短い期間でのお金の貸し借りが金融機関同士で行われており、その取引を短資会社が仲介している。

コール市場での取引の中には、一番短いもので、今日借りて(貸して)、明日返す(返済してもらう)「無担保コール翌日物」という取引があり、この時の貸し借りの金利は、無担保コール翌日物金利と呼ばれている。

かつては公定歩合の操作が金融政策の根幹であった。しかし、コール市場の拡大などで、金融機関の日銀借り入れの残高が減少し、今では、公定歩合より無担保コール翌日物の金利の方が経済への影響は大きく、日銀も重視している。

公定歩合 (こうていぶあい)

中央銀行(日本は日本銀行)が、市中銀行(都市銀行・地方銀行・第二地銀)などに貸付けをおこなう際に適用する基準金利のこと。政策金利の一つ。

公定歩合の変更は、中央銀行の金融政策の中で最もオーソドックスな方法である。公定歩合を変更すると、金融活動や経済活動に対し、「コスト効果」と「アナウンスメント効果」をもたらすといわれている。

【景気判断 → 低迷とした場合】

【コスト効果】

市中銀行は公定歩合を元に貸出金利や預金金利を決めていたので、公定歩合はそのまま市中銀行の資金調達コストとして貸出金利に反映されていた。しかし、現在の貸出金利は短期金融市場から資金調達する時の金利を基準にしているので、公定歩合のコスト効果は以前より小さくなっている。

公定歩合を下げた場合(利下げ)

市中銀行が日銀に払う利子が少なくなることを意味する。
公定歩合は市中銀行からみれば、資金調達コストのようなものである。コストが下がれば、それを貸出金利に反映させることができる。公定歩合が下がると、貸出金利を低く設定しても収益を出すことができるので、低い金利で貸出しを増やそうとする。それにより貸出金利が低くなると、企業・個人とも融資を受けて設備投資や住宅の購入を行おうとするので、経済活動が活発になる方向に向かう。公定歩合の引き下げは、景気が低迷または不況に陥っている時に景気刺激策として行われる。

公定歩合を上げた場合

市中銀行が日銀に払う利子が多くなることを意味する。
公定歩合が上がれば借り手の負担が増えるので、企業・個人とも資金調達を控えめにして金利負担が重くならないようにする。市中銀行の貸出量が減少し、その結果、経済活動が抑制されることになる。公定歩合の引き上げは、景気が過熱気味でブレーキをかける必要のあるときに行われる。

【アナウンスメント効果】

日銀が公定歩合を上げたり下げたりすることには、その前提に「日銀が現在の日本の景気状況をどう判断したのか」ということが含まれている。金融市場の参加者や企業経営者は、当然、中央銀行の景気判断に注目していて、それを参考に「これから景気はどうなるのか」と考えるので、公定歩合の上げ下げが金融活動や経済活動に与える影響は相変わらず大きいといえる。

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