景気を測る指標はたくさんあるが、一つ一つの景気指標には一長一短がある。たとえば「鉱工業生産指数」は、生産面だけを対象にしており、かつ金融やサービスといった分野の動向を表していないため、景気全体の動向を知るという点では物足りない。そこで、景気全体の動向を知るためにはこれらの景気指標を統合し、一つの指標にしたものがある。これを景気動向指数という。
産業、金融、労働など経済のあらゆる側面を網羅した29項目の景気指標を基に指数を算出している。景気動向指数は景気を先取りして動く「先行指数」、景気と並行して動く「一致指数」、景気に遅れて動く「遅行指数」に大別される。現在、内閣府(省庁再編以前は経済企画庁)が公表をしている。
【景気動向指数の種類(平成20年6月現在)】
たとえば、鉱工業生産指数は景気と連動して動く傾向があるので、一致指数に含まれている。また、企業は景気が良くなる見通しがたつと採用を増やすので、新規求人数は先行指数に含まれている。そして、企業がもうかり、利益が出ると、あとで国に税金を納めるので、法人税収入は遅行指数に含まれている。
先行指数(12項目)
新規求人数、新設住宅着工床面積、実質機械受注、東証株価指数など
一致指数(11項目)
鉱工業生産指数、大口電力使用量、商業販売額、有効求人倍率など
遅行指数( 6項目)
法人税収入、家計消費支出、完全失業率、第3次産業活動指数など
【CI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)】
なお、平成20年4月分(速報)よりDI(ディフュージョン・インデックス)中心の公表形態からCI(コンポジット・インデックス)中心の公表形態へ移行している。
CIは景気の強弱を定量的に計測することを目的とした指数である。このため、CIは、景気の山の高さや谷の深さ、拡張や後退の勢いといった景気の「量感」を示す指数とされる。CIの変化率は採用系列の変化率を合成したものであり、各採用系列間での変化のばらつきを示すものではないため、景気変動の経済各部門での相違を把握するには、CIの変化率に対する各採用系列の寄与度や、DIをあわせて利用するのが望ましいとされる。
DIは景気の局面の判定に用いる指数である。DIは採用系列のうち、改善している指標の割合が50%を上回れば景気が拡張局面、下回れば景気は後退局面にあると判定する。DIは、景気の各経済部門への波及の度合いを表すものである。DIの採用系列はCIと同じである。DIは変化率を合成したものではないため、DIの水準自体の変化は景気変動の大きさや幅とは直接的には無関係である。