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2009年03月 アーカイブ

2009年03月14日

公開買付け (こうかいかいつけ)

公開買付けとは、株券等の発行会社または第三者が、不特定かつ多数の人に対して、公告等により買付期間・買付数量・買付価格等を提示し、株券等の買付けの申込み又は売付けの申込みの勧誘をおこない、市場外で株券等の買付けをおこなうことをいう。なお、公開買付けの対象となる会社の取締役会の賛同を得ないで、買付者が公開買付けをおこなう場合を敵対的公開買付け(敵対的TOB)という。

企業の合併・買収件数の増加により、その手段の一つである公開買付けの件数も増えることとなった。しかし一部、市場内外等の取引を組み合わせた脱法的な態様の取引も出現するようになったことから、公開買付けの手続きは、株主・投資家・買付者に対して透明性・公正性を確保するべく、2006年12月に大幅に見直されることとなった。


【主な改正のポイント】

脱法的な態様の取引の防止

脱法的な態様の取引を防止するため、市場内外等の取引を組み合わせた急速な買付けの後、所有割合が1/3を超えるような場合は公開買付けによらなければならないことを明確化した。


公開買付けの対象となる会社の意見表明の義務付け

株主・投資家への情報提供を充実するべく、公開買付けの対象となる会社の意見表明を義務付けるとともに、対象となる会社から買付者に対して質問する機会を提供することとした。


公開買付期間を営業日ベースに変更

株主・投資家が公開買付けに応募することの是非について熟慮する期間、及び対象となる会社が対抗策を練るための期間を確保するために公開買付期間を実日数ベース(20日から60日)から営業日ベース(20営業日から60営業日)に変更した。


公開買付けの撤回や買付条件の変更

買付者と公開買付けの対象となる会社の公平なバランスを確保する観点から、対象となる会社が、敵対的買収に対する防衛策を発動した場合については、買付者による公開買付けの撤回や買付価格の引下げ等買付条件の変更を認めた。


株主・投資家間の公平性の確保

少数株主・投資家の保護を目的として、買付け後の所有割合が2/3以上となる場合には、応募のあった株式の全部を買い付けることを買付者に義務付けた。


競合する買付者間の公平性・透明性の確保

競合する買付者間の公平性・透明性を確保するべく、ある買付者が公開買付けを実施している期間中、すでに買付対象会社の株式を1/3超所有している別の者がさらに「5%超の買付け」を進める場合に、その者に対して公開買付けを義務付けた。

資本金 (しほんきん)

株主が払い込んだ金額のうち、会社が資本金としたもの。

株主より払い込まれた金額のうちで、会社が資本金としなかったものは株主払込剰余金となる。

株主の有限責任を、株式会社の特質とすることから、最低限維持すべき純資産を示すことが要求されており、その基準となるのが資本金である。

自己資本比率 (じこしほんひりつ)

自己資本と他人資本を合わせた使用総資産に対する自己資本の割合をいう。自己資本は純資産とも呼ばれ、企業のバランスシート上で資本金、法定準備金、剰余金などから構成される。

上記の項目からわかるように、自己資本は他人資本とは異なって返済義務がなく、配当金支払いも金利支払いとは異なって、業績に応じて弾力的に行えるなど、企業経営にとって安定的かつ好都合な資金源である。したがって総資本に対する自己資本の割合が大きい、すなわち自己資本比率が高いほど企業経営の安全度が高いということになる。

自己資本 (じこしほん)

自己資本とは、貸借対照表の貸方項目を構成する要素のひとつで、広義には、資産と負債の差額を示す「純資産」と同じ意味を持つ。また、同じ貸方項目である他人資本と合わせて、借方項目である「総資産」と対比させることもある。

自己資本は、借入金などで構成される他人資本とは異なり、返済の義務がなく、経営の安定性上、自己資本の充実は重要である。

他人資本 (たにんしほん)

貸借対照表における貸方項目を構成する要素のひとつ。
貸方項目は、他人資本と自己資本に分けられ、他人資本は、流動負債と固定負債に分類される。

他人資本は、デットファイナンスによって調達した資金のことで、負債ともいう。自己資本に対する負債の割合を表す指標として負債比率がある。

流動負債 (りゅうどうふさい)

貸借対照表の貸方の負債の部のひとつ。短期間のうちに支払期限が到来する負債。

買掛金等、企業の主目的である営業取引によって発生した負債や1年以内に支払期限が到来する企業の主目的ではない負債も流動負債とされる。

【支払能力をみるための指標】

流動負債を使って、企業の支払い能力を見るための指標として流動比率と当座比率がある。

流動比率

流動資産を用いて算出する。一般的に200%以上が望ましいとされている。

当座比率

資金化を考えた資産である当座資産を用いて算出する。一般的に100%以上が望ましいとされている。

流動資産 (りゅうどうしさん)

貸借対照表の借方の資産の部のひとつ。短期間のうちに回収される資産のことをいう。

企業の主目的である営業取引から発生した資産や1年以内に回収される企業の主目的ではない資産も流動資産とされる。 流動資産は、当座資産や棚卸資産などで構成されている。

流動比率 (りゅうどうひりつ)

短期の負債に対する企業の支払い能力を見るための指標。企業の財務の安全性を見る指標である。

一般に、200%以上が望ましいとされている。 同じ短期の負債に対する企業の支払い能力をみる指標として、当座比率がある。当座比率の場合は、当座資産を用いて算出する。

【算出式】

流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

負債 (ふさい)

決算時などの一時点において、企業が債権者に対して、後日、一定の債務や義務を提供しなければならないもの。

企業が債権者に対して返済義務を負っている金銭債務として

  • 借入金
  • 企業が資金調達のために発行した社債
  • 従業員の退職金や年金の支払額をあらかじめ計上しておく「退職給付引当金」
  • 繰延税金負債
などが該当する。

貸借対照表の貸方項目で表示されるにあたり、負債は、「流動負債」と「固定負債」に分類される。分類は、企業の主目的である営業取引によって発生した負債であるか否か、または返済期限の長期、短期などに応じておこなわれる。

また、負債を「他人資本」と呼ぶこともある。

繰延税金負債 (くりのべぜいきんふさい)

算定方法の相違により、企業会計上の「資産」または「負債」の額と、課税所得計算上の「資産」または「負債」の額に差異が生じる場合がある。

このうち、将来、課税所得を増額する効果をもつ差異(将来加算一時差異)に係る法人税等の支払額は、会計上、法人税等の未払額に相当する。この未払額を繰延べておく負債勘定を繰延税金負債という。ただし、繰延税金負債は、将来の課税所得が生じなければ、これに係る税金の支払いが生じないことになる。したがって、事業休止等により、会社が清算するまでに明らかに将来加算一時差異を上回る損失が発生し、課税所得が発生しないことが合理的に認められる場合には、繰延税金負債の計上は認められない。

繰延税金資産 (くりのべぜいきんしさん)

算定方法の相違により、企業会計上の「資産」または「負債」の額と、課税所得計算上の「資産」または「負債」の額に差異が生じる場合がある。

このうち、将来、課税所得を減額する効果をもつ差異(将来減算一時差異)に係る法人税等の支払額は、会計上、法人税等の前払額に相当する。この前払額を繰延べておく資産勘定を繰延税金資産という。ただし、繰延税金資産は、将来の課税所得が生じなければ、その減額効果は得られない。したがって、繰延税金資産を計上する際には、将来の課税所得の見積りの合理性を検討する必要がある。

たとえば、企業は取引先の破綻に備えて、取引先の債権の一定割合を貸倒引当金として、あらかじめ損失を計上するが、会計上、損金算入限度額(税務上損失として処理できる限度額)を超えて、貸倒引当金として計上した場合には、超過額について、税務上損失とはならない。取引先が実際に破綻して現実に損失が出た場合には税務上損失とされるが、それまでは、課税所得がそれだけ多くなり、税金の支払いが生じる。しかし、税効果会計を適用すると、この部分が会計上、前払額として、資産計上される。これが繰延税金資産である。

不良債権 (ふりょうさいけん)

銀行などの金融機関(=債権者)が持つ貸出金などの債権について、その回収が、通常の回収期間におこなわれていないもの。債権者にとって、不良債権は業況や財務内容に問題のある債務者に対する債権のことで、それらの債権は返済に問題が生じている。

たとえば、不景気で、借り手(=債務者)の経営が悪化し、債権者に対して借入金の利子や元本を約束どおりに返済できないと、債権者にとってその債権は、不良債権となってしまう。

【不良債権の分類】

不良債権は、債務者の状況に応じて、いくつかに分類することができる。この分類は、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(金融再生法)に基づく分類である。この分類による不良債権を「金融再生法開示債権」と言う。「金融再生法開示債権」とは別に、銀行法、信用金庫法等の各種業法に基づく債権の分類の仕方もあり、不良債権をリスク管理債権と言う。

破産更正債権およびこれらに準ずる債権

以下の債務者に対する債権を、破産更正債権およびこれらに準ずる債権という

・破綻先
 破産、会社更生、民事再生など、法的に経営破綻している債務者のこと

・実質破綻先
 法的には経営破綻していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがないと見られるなど、実質的に経営破綻している債務者のこと

危険債権

以下の債務者に対する債権を、危険債権という

・破綻懸念先
 今のところ経営破綻の状況にはないが、経営難の状況にあり、経営改善計画などに沿って再建途上にはあるが、その進捗状況がかぐわしくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと見られる債務者のこと

・要注意先
 金利減免をおこなっているなど貸出条件に問題のある債務者、元本や利息の支払いが事実上延滞しているなど債務の履行状況に問題がある債務者、業況が低調ないし不安定な債務者、財務内容に問題がある債務者など、今後の管理に注意する必要のある債務者のこと。

なお、要注意先の債務者には、「要管理先の債務者」と「それ以外の債務者」がある。「要管理先の債務者」とは、債権の全部または一部が要管理債権となっている債務者のことをいう。

「要管理先の債務者」に対する債権を、要管理債権という。要管理債権は、元本や利息の支払いが3カ月以上延滞されている債権、または貸出条件が当初の約束よりも緩和されている債権をいう(「それ以外の債務者」に対する債権は、不良債権ではない)

クレジットコスト

不良債権処理額。

不良債権を処理した事により、その期の損益計算書に算出される損失額を指す。

無担保債 (むたんぽさい)

元利金の支払いや償還のために特別に担保をつけていない債券のこと。

国債・地方債・金融債は無担保債である。これらの債券の元利金の支払いの確実さは、発行者の信用にかかっている。

CB、一般事業債については、財務上一定の条件(発行基準)を満たす会社について、無担保債の発行がなされている。

政府保証債 (せいふほしょうさい)

元利金の支払いが文字通り政府によって保証されている債券。
万一の場合は、政府が発行者に代わって元利金を支払う。従って、国債とほとんど変わらない安全性を持つ。現状、個人投資家向けにはほとんど発行されていない。

2009年03月21日

利益準備金 (りえきじゅんびきん)

法定準備金の一つ。

企業は、資本準備金と合わせて、資本金の4分の1に達するまで、利益準備金を積み立てなければならない。そして資本の4分の1を超えると、株主総会の決議により、利益準備金は利益剰余金にすることができる。

利益剰余金 (りえきじょうよきん)

自己資本のうち、資本金を超える部分が剰余金であるが、毎年度の利益や損失、または積立金などが積み重なったものなど剰余金の発生源泉が利益とするもの。

資本剰余金 (しほんじょうよきん)

資本剰余金とは、新株発行など資本取引によって発生した剰余金のことをいう。資本準備金とその他資本剰余金から構成される。

資本準備金 (しほんじゅんびきん)

法定準備金の一つ。

原則、株式の発行価額は、資本金とされるが、企業は、発行価額の2分の1を資本準備金とすることができる。法定準備金が、資本の4分の1を超えるときは、資本準備金を資本剰余金に振り替えることができる。

法定準備金 (ほうていじゅんびきん)

株式会社は、公示した資本額に相当する資産を保持しないと、利益配当等をおこなうことができない。実際に資産が資本を下回るような事態が生じた際には、法定準備金でこれを補うことができる。

法定準備金は、法律で積み立てることが義務づけられている準備金のことで、資本準備金と利益準備金がある。

準備金として、法定準備金の他に、利益の中から積立てる任意準備金もある。準備金が多いということは、財務の健全性の面では望ましいことである。

株式会社が増資を行うと、発行価額の半分を超えない額で、資本準備金として、資本に組み入れずに積立てることができる。これによって、準備金が増加するので、財務の健全性の面では望ましかったが、これまでは法定準備金は、使途が限られていた。しかし、平成14年度の商法改正によって法定準備金が、資本の4分の1を超えるときは、株主総会の決議により、法定準備金は剰余金にすることができるようになった。資本準備金は資本剰余金に、利益準備金は利益剰余金にすることができるようになった。剰余金になることで、株式会社は、これを自由に使えるようになった。

剰余金 (じょうよきん)

自己資本のうち、資本金を超える部分が剰余金である。剰余金には、資本剰余金利益剰余金がある。

剰余金は、日本の企業会計上、2つの異なった意味を持つ。

【企業会計原則の場合の剰余金】

会社の純資産額である自己資本のうち、法定資本である資本金以外の部分のこと。

【商法の計算書類規則 の場合の剰余金】

会社の純資産額である自己資本のうち、法定資本である資本金、および法定準備金以外の部分のこと。

ヘッジファンド

ヘッジファンドは米国で生まれた私的な投資組合(特定・少数の投資家や金融機関などから出資を受ける)の一種で、規制の及ばない租税回避地域に設立する投資会社も多くある。

ジョージ・ソロス氏が率いるクォンタム・ファンド(各国の金利・通貨政策の歪みを狙って大きな資金を動かす「マクロ・ファンド」)が有名で、極めて投機的なファンドと思われがちである。 しかし、「へッジ(リスク回避)」という名前が示す通り、リスクをコントロールする様々なタイプがある。

投資内容などの情報開示義務がないため、公式な統計がなく実態が明らかにされていないが、ファンド数は3,000~4,000、純資産規模は4,000億ドルにも達しているという推計もある。 融資やデリバティブ(先物、オプション、スワップなどの金融派生商品)などを活用しているため、取引規模は純資産をはるかに上回っているとされている。

実質破綻したLTCM社の運用資産は異例の規模で、ピーク時には純資産の26倍の1,250億ドルに達し、更にその10倍のデリバティブ取引の契約残高があったといわれている。 したがって、予想外の相場変動になった時には巨額の損失を被ることになる。
国際的な金融不安につながる懸念から、ニューヨーク連銀の仲介でLTCM社が救済(9月23日、欧米金融機関14社が36億ドル出資)されたことにもうなずける。

デリバティブ

デリバティブ(派生証券)とは、金や原油などの原資産、株式や債券などの原証券の値の変化に依存してその値が変化する証券である。

この原資産、原証券に関しては制限はないが、通常は取引されている証券の価格を用いる。株式、債券、通貨交換レート、金利あるいは金や原油などがあげられる。

たとえば、大阪証券取引所に上場されている日経株価指数300オプションは、日経株価指数300の価格を基本的な変数として、これに依存してオプションの価格が決定されるデリバティブである。

【デリバティブの種類】

証券取引所で取引できるもの

先物取引
先渡し取引
スワップ
オプション

また、これらの複合型であるコンパウンド・オプション(CompoundOption:オプションのオプション)、スワップション(Swaption: スワップのオプション)なども取引されている。

相対取引でおこなわれるもの

天候デリバティブ
クレジットデリバティブ

先渡し取引 (さきわたしとりひき)

銀行間市場(外国為替市場)の外国為替取引の種類の一つ。
フォワード取引(金利のフォワード取引とは異なるので注意)とも呼ばれ、一定期間の通貨の交換のことをいう。通常、2営業日後にスタートをして、一定期間後に反対売買を約束して行う取引である。

機関投資家などは、2~3カ月先の受渡しの為替予約を行う。その際の為替レートは、スポット取引のレートとは同一ではない。

【為替レートの導き出し方】

1ドル115円の時、米ドルを持っている人と、円を持っている人が3カ月間それぞれの保有通貨を交換するとする。
3カ月間の米ドルの金利を5%、円の金利を0.02%とすると、3カ月後に再び115円で交換する場合、3カ月間米ドルを手放し、円を保有する人は、金利が0.02%しかつかないので、損をしてしまうことになる。

そこで、どちらも損をせず、この契約を成り立たせるために、次のような計算の上、契約をする。

ルを3カ月間運用した場合の受取額

115円を3カ月間運用した場合の金利

つまり、1.0125米ドル=115.00575円で返還されるとき契約が成り立つ。よって、この例示においては、115.00575円÷1.0125米ドル=113.58592・・・1米ドル=約113.586円で3カ月後に返還する約束をして、1米ドル=115円で交換する契約となる。

先物取引 (さきものとりひき)

先物取引は、ある特定の商品を対象として、買付時に買付代金を支払わず、将来の一定の期日まで代金の支払いが猶予される取引である。通常、価格の上昇を予測して買い注文を出す。

同様に売り注文を出すということは、通常、価格の下落を予測してのことである。先物取引は、ある特定の商品を対象として、売付時に受渡しを行わず、将来の一定の期日まで、受渡しが猶予される取引である。

このようにあらかじめ決められた受渡日に、現時点で取り決めた約定価格で取引することを約束する契約を先物取引という。
受渡日までに反対売買(買い方は転売、売り方は買い戻し)をすれば、当初の契約価格と反対売買価格との差金の授受によっても決済することもできる。

買い方は、予測通り相場が上昇した時に反対売買をすると利益を得ることができるが、反対に下落した時には損失が生じる。
売り方は、予測通り相場が下落して、反対売買をすると利益を得ることができるが、反対に上昇した時は損失が生じる。

【先物取引の利用方法】

ヘッジ取引

保有している現物の価格変動リスクを回避する手段として利用される取引。利用する投資家のことをヘッジャーという。例えば、株式のポートフォリオを保有している投資家が、株式相場の値下がりによるリスクを回避するために、自分の保有しているポートフォリオ相当分の株式先物を売却する取引を行う。

スペキュレーション取引

先物価格の変動をとらえ、利益を得ることを目的として利用される取引。利用する投資家のことをスペキュレーターという。先物価格が上昇すると判断した場合、先物を買う。同様のことは現物取引でも行うが、先物取引は、証券会社へ証拠金を差し入れるだけで、多額の取引ができるという現物取引にはない特色がある。

裁定取引

先物と現物、または先物と先物の間の価格差をとらえ利用される取引。利用する投資家のことをアービトラージャーという。

【先物の種類】

現在、日本の証券取引所に上場され、取引されている商品は以下のものがある。
商品の種類、売買単位、受渡日(限月)等の諸条件が定型化され、契約の履行を保証する証拠金の差入れを行なえば取引参加をすることができる。

株式関連

株式先物

債券関連

中期国債先物、長期国債先物

金利関連

ユーロ円3カ月金利先物、ユーロ円LIBOR3カ月金利先物

通貨関連

米ドル、日本円通貨先物

【信用取引との違い】

先物取引は、信用取引と共に証拠金制度をとっているが、本質的には全く違う取引である。

貸借関係が発生しない

信用取引では株式や資金の貸借関係が発生するが、先物取引は発生しない。

現物価格

信用取引を行う際の価格は、現物取引の価格と同じである。しかし先物取引は、現物市場とは別の市場が存在し、独立に取引が行われるため、先物取引を行う際の価格は現物価格とは別なものになる。

スワップ

スワップとは2当事者(X,Y)間で、事前に合意された数式にしたがって求められたキャシュフローを、決められた期間において、決められた回数だけ交換する契約である。

交換されるものによって、金利スワップ、通貨スワップやエクイティー・スワップなどと呼ばれる。これらは、固定であっても変動であってもよい。

金利スワップの最も基本的なものは、プレイン・バニラ・スワップ(Plain Vanilla Swap)と呼ばれる。これは、同一通貨の固定金利と変動金利との交換である。一方の当事者Xが契約締結時に決定しておいた想定元本に対して決められた固定金利分を他方の当事者Yに契約期間支払う。これと同時にYはXに対して同額の想定元本に対して変動金利分を支払う。

スワップ(広義のスワップ)は、基本的に2当事者間での交換であるが、交換の回数、一方当事者に権利が付与されているかどうかによって次のように分類される。

まず広義のスワップは交換回数によって、2つにわけられる。複数回交換が行われるケースとただ1回の交換のみのケースである。

前者が狭義のスワップである。後者は契約当事者の一方における権利の有無によって、さらに2つにわけられる。双方共に権利のないケースであるフューチャーと一方が権利を保有するケースであるオプションに分類される。

通常スワップと呼ばれているのは、上記の分類のなかの狭義のスワップのことである。オプションを内蔵させたスワップも取引されている。リバース・フローターと呼ばれるスワップが一例で、キャップという金利オプションが内蔵されている。スワップとオプションを直接組み合わせたものとして、スワップを原資産としたオプションはスワップション(Swaption)と呼ばれる。

天候デリバティブ (てんこうでりばてぃぶ)

冷夏、暖冬などの気候変動による企業の減収を補償する金融派生商品。一般的には、事前に、一定のオプション料を支払うことにより、異常気象が発生した場合に、補償金を受け取ることができる仕組みのもの。

損害保険では、風水害など、実際に損害額が確定しないと保険金が支払われないが、天候デリバティブでは、設定された異常気象が発生すれば、補償金が支払われる。

食品・飲料メーカーや電気・ガス会社は暖冬・冷夏、穀物メジャーは冷夏、百貨店・小売りは長雨、レジャーは長雨・強風といった具合に、日本企業の約7~8割がこうした異常気象によって、減収や損害などの天候リスクを抱えているといわれている。これまでは、天候リスクを回避する手段は、ほとんどなかったといえるが、天候デリバティブは、指標に基づいた契約によって、気温や降水量等が予め決められた条件になった場合に、設定された補償金を受け取ることができるものである。複雑で時間のかかる損害額の査定や手続きは不要で、比較的簡便に、所定の補償金を受け取ることができる。気候変動に左右されずに収益の安定化が図れるという点で、導入する企業側には、大きなメリットがあると考えられる。

地球温暖化やエルニーニョ現象などに起因して異常気象が多発する今日、欧米では、既に天候リスクは、天候デリバティブを使って回避するという考えが浸透しつつある。天候デリバティブは、1997年に米国のエンロン社が開発、その後、店頭取引を中心に市場規模が拡大し、1999年9月には、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で先物が上場、2001年にはロンドン金融先物取引所(LIFFE)で欧州初の天候指数の試験表示が始まった。日本でも、欧米のこうした動向や、潜在的なニーズの高まりに対応して、金融機関を中心に天候デリバティブを提供する会社が増加してきた。商品としては、保険型の機能のものが好まれる傾向にあり、多くの会社は、個別企業にあわせてオーダーメイド的な設計・提供を行っている。

クレジットデリバティブ

社債や貸付債権の信用リスクに着目し、これを定量化し、投資家同志で個別に条件を決めて行う取引。

簡単にその仕組みを説明する。
社債などを保有する投資家が、債務不履行により社債の元本が支払われなくなるリスクを回避するために、信用リスクが小さいと判断した金融機関などに、保険を支払う。

その際の保険金額は、その時々で個別に決められる。企業の税財務の健全性に対する投資家の見方が厳しくなってくると、保険金額は、上昇する方向に動く。

実際には、例に挙げた債務不履行に対するものだけではなく、業績悪化による信用力の低下といった状況を取引の対象とする商品も考案されている。

取引の形態に関しては、デリバティブという取引形態をとることによって、スワップ、仕組債券、オプションなど多種多様な商品が生み出されている。

2009年03月23日

グリーンメール

敵対的買収の一種で、買収者がターゲットにした企業もしくは関連企業等に高値で買い取らせることを目的に、企業の株式を買い集めること。買収者をグリーン・メーラーと呼ぶ。

グリーンメールの由来は、ドル紙幣の緑色とブラックメール(脅迫状)を連想させたもの。

2009年03月27日

デフレーション

モノやサービスの値段は、需要と供給のバランスで決められている。
需要と供給のバランスが崩れると、値段は変動する。この動きが、他のモノやサービス全般に広がっていくと、物価(モノやサービスを総合的に表したもの)が変動する。

一般的には、物価が継続して下落する状態をデフレーション略してデフレと呼ぶ。

【デフレの影響】

デフレとは、お金の価値が上がり、相対的にモノの値段が下がることをいう。モノの値段が下がったからといっても、通常、人は必要以上にモノを買わないので、モノが同じ数だけ売れても、販売価格が下がれば企業の売り上げは落ちていく。
企業業績が悪くなると、経済活動全体が元気をなくし、経済が縮小していく。

デフレの場合も、全てのモノの値段が比例して動けば、問題はないが、現実はそうではなく、物価の下落に追いつけないものが出てくる。

例えば賃金などがその1つである。
企業が出荷する製品の価格が下がり、売上が減っても、すぐに賃金がカットされるわけではない。それは、賃金は従業員の生活を支えており、重大な関心事である。それを引き下げれば従業員の労働力を下げるおそれがあり、悪くすれば労使紛争にもつながりかねないからである。

そのため、企業は賃金引き下げに慎重にならざるを得ず、それだけ収益が圧迫されることになる。そして企業は出費を抑えるようになり、新たな設備投資を抑制する。企業業績の不振が雇用不安につながるため、将来を心配した家計は、消費を抑えることになる。住宅のような長期のローンを伴う買い物を控えるようになり、ますますモノは売れなくなり、そしてさらに物価は下がる。

【デフレが起こる理由】

バブル経済崩壊後、日本でもデフレの状況が続いている。これは、好況に慣れきった企業が過大な設備投資を続け、家計も消費ブームにわき返り、モノが世の中に溢れた。
モノが溢れていてもそれを買うだけの消費が続けばよかったのだが、それが崩れ、モノが供給過剰の状態になり、デフレに陥っている。

【デフレの本質】

モノの値段がそのときどきで異なっていたら、いくら需要と供給のバランスで値段が決まるといっても、買い物をする時まで価格の見当がつかないのは困る。
食料品などの生活必需品の場合には、価格が安定していなければ計画的な家計が営めなくなる。

そもそも、モノの値段が変動しても、モノ自体の価値は、短時間ではそれほど変わらない。物価が高騰したり下落したりする場合は、モノの価値自体が変化しているのではなく、お金の価値が変化しているのである。

【デフレと経済政策】

お金の価値が安定していなければ、日常の買い物に困るだけではなく、経済活動全体が困ることになる。例えば、翌月あるいは何カ月か先の取引をあらかじめ取り決める際に、金額をいくらに設定すればよいのか決めにくくなる。
家計や企業の経済活動および金融活動を円滑に行うためには、取引の基準となるお金の価値を安定させる必要がある。

このお金の価値(=通貨の価値)を安定させる役割を持っているのが、日本の中央銀行である日本銀行である。日本銀行は、通貨価値の安定を図ることで物価を安定させ、ひいては日本経済を安定的に成長させる土台を作っている。 経済政策を通じて、直接的に金融市場に働きかけることができるのである。

【デフレーションの状態】

デフレスパイラル

デフレスパイラル

デフレーション(Deflation)と、スパイラル(Spiral=螺旋 らせん)を掛け合わせた言葉。物価の下落と実体経済の縮小とが、相互に作用して、らせん階段を下りるようにどんどん下降していくこと。物価の下落が継続して起こり、それにつれて景気がどんどん悪くなる状況をさす。

【デフレスパイラルの現象】

物価下落

企業の売上の減少

企業収益の滅少(売上が減少したにもかかわらず、賃金などは短期的にはすぐに下がらないため)

企業行動の慎重化=設備投資や雇用の調整

個人消費などの最終需要の滅少

さらなる物価下落

マーケットメイク銘柄

ジャスダック証券取引所へ届け出た証券会社(マーケットメイカー)が売り気配・買い気配等を継続的に発表し、当該気配に基づき売買を履行する義務を負う銘柄として、ジャスダック証券取引所が指定した銘柄をいう。

2008年3月、ジャスダック証券取引所では、マーケットメイク制度を廃止し、リクイディティ・プロバイダー制度を導入した。これにより、マーケットメイク銘柄はすべて廃止され、上場されている全銘柄がオークション銘柄となった。

モーゲージ

モーゲージ(=モルゲージ)といえば、一般的に、モーゲージローンのことをさす。モーゲージローンとは、不動産を担保としたローンをいう。

モーゲージ証券

モーゲージバック証券(MBS:Mortgage Backed Security)とも呼ぶ。

一般に、不動産担保融資の債権を裏付けとして発行された証券のこと。 住宅ローンの貸し手であるオリジネーターが、住宅ローンを貸し出し、この住宅ローン債権を証券発行体に売却をする。証券発行体は、これをもとにしてモーゲージ証券を発行する。発行された証券は、元利金支払の保証がされるなど信用力や格付が高められた上で、投資家に販売される。

米国においてモーゲージ証券の大部分は、政府系の機関であるジニーメイ(連邦政府抵当金庫)、ファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)、フレディマック(連邦住宅金融抵当金庫)により発行されている。モーゲージ証券は、米国国債と並ぶ高い信用力を有している。ただし期限前償還のリスクがあり、よって投資家は一般的な債券より比較的高い利回りを享受することができる。

モーゲージ証券の代表的な例として、パススルー証券があげられる。政府系発行体と民間発行体が発行するものがある。さらに固定金利のものと、変動金利のものに区別することができる。またCMOと呼ばれる債券やRMBSなどもある。

パススルー証券

同種複数の債権をプールし証券化したもの。証券化したものを、投資家に売却することで、債権を保有する金融機関が、その債権をもとに、資金調達することが可能となる。

代表的なものとして、モーゲージ証券がある。一般に、ファニーメイやフレディマックなどにより保証されたものが多く、信用力も高く、流通量も多い。

ファニーメイ (Fannie Mae)

連邦住宅抵当公庫。GSEの一機関である。

民間金融機関からローン債権を買取り、証券化市場で住宅ローン担保証券を発行する業務などをおこなっている。住宅ローンの流通市場を整備・育成し、米国市民が容易に住宅取得することを目的としている。1938年に米国の法律に基づいて設立された政府系金融機関である。1968年に民営化され、1970年に株式がニューヨーク証券取引所に上場した。近年、積極的な資金提供を通して住宅ローン市場におけるシェアを拡大させている。フレディマックとは、競合関係にあるが、役目は基本的には同じであるとされている。

ファニーメイは、民間金融機関から直接住宅ローン債権を買い取り、それをもとにして単純なパススルー証券や、パススルー証券を裏付け証券として発行されるモーゲージ証券の発行・保証を行っている。ジニーメイのように、米国連邦政府の公的保証は受けていないが、政府機関債として米国国債に次ぐ、信用力を保持している。

GSE (Government Sponsored Enterprises)

政府援助法人。

米国における住宅や農業関連の政府後援企業のこと。住宅や農業の分野に対して、融資や債務保証などの方法で、資金の供給をしたり、その円滑化を実現している機関。

GSEは民間の企業であり、Fannie Mae、Freddie Macなどが存在する。これらの企業は、ニューヨーク証券取引所にも上場しており、規模や収益から見ても、世界トップクラスの金融機関とみなされている。

ジニーメイ (Ginnie Mae)

住宅都市開発庁の下で、全額政府出資で設立された企業。

モーゲージ流通市場に流動性を与え、資本市場から住宅モーゲージ市場に資金を呼び込むことによって連邦政府の住宅プログラムを支援している。

モーゲージ証券が、投資家に販売される際に、元利金の支払を保証する機関。ジニーメイは、債権は保有しないが、モーゲージ証券を組成しているローンの債務者が元利金の支払を滞納した場合に、元利金の支払を保証する。

フレディマック (Freddie Mac)

連邦住宅金融抵当金庫。愛称をFreddie Mac(フレディマック)と呼ぶ。GSEの一機関である。

住宅ローン市場に安定的に資金を供給するために、米国連邦議会の公認のもと1970年に、ファニーメイがモーゲージ市場で十分カバーしていなかった部分に資金を供給するために設立された政府系金融機関。
ファニーメイとは競合関係にあるが、役目は基本的には同じであるとされている。政府出資は受けておらず、株式がニューヨーク証券取引所とパシフィック証券取引所に上場されている民間会社である。

GSEとされるのは、政府による住宅取得促進政策の一部を担うべく、連邦議会により設立されていることから、住宅都市開発庁と連邦住宅事業監督局の2つの監督官庁が存在し、また公共的な目的が記された定款は、連邦議会による承認を必要とするなど、通常の民間企業とは性格が異なるからである。

フレディマックは、民間金融機関から直接住宅ローン債権を買い取り、それをもとにして、パススルー証券の発行・保証を行っている。ジニーメイのように、米国連邦政府の公的保証は受けていないが、政府機関債として米国国債に次ぐ、信用力を保持している。

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