不良債権 (ふりょうさいけん)
銀行などの金融機関(=債権者)が持つ貸出金などの債権について、その回収が、通常の回収期間におこなわれていないもの。債権者にとって、不良債権は業況や財務内容に問題のある債務者に対する債権のことで、それらの債権は返済に問題が生じている。
たとえば、不景気で、借り手(=債務者)の経営が悪化し、債権者に対して借入金の利子や元本を約束どおりに返済できないと、債権者にとってその債権は、不良債権となってしまう。
【不良債権の分類】
不良債権は、債務者の状況に応じて、いくつかに分類することができる。この分類は、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(金融再生法)に基づく分類である。この分類による不良債権を「金融再生法開示債権」と言う。「金融再生法開示債権」とは別に、銀行法、信用金庫法等の各種業法に基づく債権の分類の仕方もあり、不良債権をリスク管理債権と言う。
破産更正債権およびこれらに準ずる債権
以下の債務者に対する債権を、破産更正債権およびこれらに準ずる債権という
・破綻先
破産、会社更生、民事再生など、法的に経営破綻している債務者のこと
・実質破綻先
法的には経営破綻していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがないと見られるなど、実質的に経営破綻している債務者のこと
危険債権
以下の債務者に対する債権を、危険債権という
・破綻懸念先
今のところ経営破綻の状況にはないが、経営難の状況にあり、経営改善計画などに沿って再建途上にはあるが、その進捗状況がかぐわしくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと見られる債務者のこと
・要注意先
金利減免をおこなっているなど貸出条件に問題のある債務者、元本や利息の支払いが事実上延滞しているなど債務の履行状況に問題がある債務者、業況が低調ないし不安定な債務者、財務内容に問題がある債務者など、今後の管理に注意する必要のある債務者のこと。
なお、要注意先の債務者には、「要管理先の債務者」と「それ以外の債務者」がある。「要管理先の債務者」とは、債権の全部または一部が要管理債権となっている債務者のことをいう。
「要管理先の債務者」に対する債権を、要管理債権という。要管理債権は、元本や利息の支払いが3カ月以上延滞されている債権、または貸出条件が当初の約束よりも緩和されている債権をいう(「それ以外の債務者」に対する債権は、不良債権ではない)